ひでG

エデンの東のひでGのレビュー・感想・評価

エデンの東(1954年製作の映画)
3.9
これも代表的な「日曜洋画作品」。
淀川さんの名調子が聴こえてきそう。

基本的に最近は昔の作品でも、レビュー書くのにもう一度見直しているのだが、これは三回ほど見ているので、思い出しながら書きます。

古い映画を並べたフィルマークスの作品欄がキレイなので、ちょっと無理して、往年の名作にチャレンジ。

何度か観たけど、心の底から「良かった〜」と思ったことはなかった。

何かいろんなものに助けられてる作品だと思う。

それはもちろん、ジェームス・ディーン!

彼が演じるキャル という役。なかなか厄介な男子だ。
これを「この年頃は、、」と、青春代表みたいな捉えていいのたろう。

まあ、時代的に「発達障害」とか「コミニケーション障害」なんて言葉はないが、軽度なそれかもしれないな、

悪気はないけど、どこか他人との距離感がうまく保てない。

良心なんだけど、それが無条件で他人に受け入れられると思ってしまう。

かなり強いコンプレックスを持っている。

これを、ギレンホールが演じたら、きっと異常さがさらに浮き彫りになるだろう。

これを、トビーマクワイアが演じたら、あっさりし過ぎて、哀しさが出なかっただろう。

例えば、他人を見る上目遣い。
例えば、足を抱えて縮こまる仕草。

これが似合い、可愛くて、哀しくて、
こんな風に愛らしく演じられる人が古今東西いただろうか。【いや、彼以外にはいない→反語】

この映画は、彼を際立たせるために、父や兄を必要以上に悪く、不運に書いているような気がしてならない。

劣等感まで美しく魅せる稀代の大スターが演じたことで、当初制作陣が狙っていた以上の効果をもたらした作品ではないだろうか。

もう一つ、この映画を助けたものは、これも超有名なあの主題歌。
特にラストの「父さんが〜😭」→♫「タラッラ、ラーララ♫」とあの名曲!
「はい!名作決まり!」みたいな決定打だよね。

あの曲が、ジミーがいなかったら、ひょっとして「世界映画名作100選」に常時選ばれるような作品になっていなかったかも。

そして、この映画を救った、という点では、取りも直さず、監督エリアカザンも救ったことになった。

カザンは当時ハリウッドに吹き荒れたいわゆる「レッドバージ」にあい、自らの思想や作家としての信念を捨てた!と言われ、後世のハリウッド人の一部からは、晩年になっても批判されていた。

当時の情勢に詳しい父は、「エデンの東は、カザンの言い訳映画だ!」と弾劾していたが、私は正直、そこまで分からない。

ただ、何か別のことを言いたんだろうなって、空気は感じる。

兄弟の確執。親に愛されない弟【時に兄】
これはかなりの数の映画が据えた典型的な家族葛藤映画だし、その後の同種の作品に大きな影響を与えたんだと思う。
ただ、初めて見る人には、おとなしく、大したことないストーリーに映るかもしれない。

最後に兄の恋人アブラを演じたジェリーハリス。美人ではないが、素朴で包容力のある役、観覧車でのキスは今でも忘れられない名シーンだ。
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