LudovicoMed

エグザイル/絆のLudovicoMedのレビュー・感想・評価

エグザイル/絆(2006年製作の映画)
4.4
香港ノワールの名匠ジョニートーが仕掛けるチームアクションであり、全篇即興演出が話題を呼んだ至高の一作。

ザミッションのキャストが再集結とあって、ジョニートー映画の中でも1、2を争う素晴らしい傑作だと思います。

とにかく、ほぼ全カットがめちゃくちゃクールで最高にカッコいい。
何気ない会話シーンでも、キャストの配置が完璧に画になっていて、メキシカンスタンドオフの幾何学なショットとかは、芸術性すら感じる。

全篇にわたり乾いた空気が映画を支配し、いつどこでバイオレンスが起きてもおかしくない演出には感服。

なにより本作では、全篇即興で演出されているともあって、アクションシーン一個のクライマックス感がハンパない。
リアルな演出よりもとにかく映画的質量重視でくさいケレン味がたまらなくカッコいい。

もちろんジョニートー作品はそここそが肝なので、この演出自体が好き嫌い分かれるとは思いますが。

アクションの構図も非常に秀逸で、メキシカンスタンドオフ含め、銃撃戦の焦らしがハンパなく、先延ばしにおもいっきり焦らしてからの一瞬でケリがつく流れは、タランティーノの長い会話劇で圧が高まっていって、凄惨なバイオレンスが突然訪れる感覚にも似ている。 あれの銃撃戦版みたいな感じ。

ほとんどダンスの振り付けのような華麗な銃さばきに加えペキンパー、ジョンウーさながらのスローと細かいカットの素早い切り替えが一瞬の惨劇を映画的に構築されている。

当代きってのありとあらゆる映画をサンプリングされた本作は大まかな物語の下敷きにワイルドバンチがなぞられ、非常に西部劇臭の強いテイストとなっている。

都会を離れてからは、いよいよ西部劇っぽくなってくし、グラサンとスーツでキメた男達って地点で、ジョンウー、レザボアフォロワーに、音楽もセルジオレオーネ風だったり、自宅に重傷患者を連れてこられる所とかはパルプフィクションみたいで、あれこれ予想しながら楽しめる点でも必見。

基本シリアスなトーンで作られているのに反してユーモアに溢れ、男同士の仲の良いさまを終始楽しめる。

これこそチームものの最大の魅力。
本作は度を越したイチャイチャ感が見どころで、男子寮的ノリがなによりエモい。
酒の回し飲み、 記念写真、 夜の焚き火、 コイントス、 そしてレッドブル、まさにがちEXILEの楽屋感。

屈強なプロフェッショナルが少年のように遊ぶ姿は、北野映画を思わせギャグ演出とかにも通ずる。
でもだからこそ、彼らの「絆」を必要に描写したカタルシスがラストに非常に効果的に現れる。

ジョンウーやザミッションが好きな方は必ず楽しめると思います。
LudovicoMed

LudovicoMed