にーやん

軽蔑のにーやんのレビュー・感想・評価

軽蔑(2011年製作の映画)
3.5
地元ロケ作品3作目は中上健次の遺作の映像化。

「差別」=「軽蔑」

う〜ん…なるほど。
原作で描かれる「昭和」ど真ん中の匂いを残してはいるのですが、設定が現在という若干のチグハグさ…スコアが低い一因のひとつはこれかも知れない^^;

この作品は、良く言うなれば『滅びの美学』1組の男女がただ「破滅」へと向っていく救いのない物語。

その破滅的な愛に身を委ねる人気ポールダンサー真知子を演じるのは鈴木杏さん。彼女の巧みな演技は真知子という女のずっと上をゆく感じ…というか、つまり「愚かな女」にみえないのがなんだかとても勿体ない。それでも、主人公 カズを演じる高良健吾さんのクズっぷりは、まさしく愚の骨頂。本気で嫌悪感を催すレベルで同情する余地が微塵もないくらいの素晴らしさ。

そして、脇を固める大森南朋さん、小林薫さんも良いのだか、原作「軽蔑」の臭いを一番感じたのが緑魔子さん。話す方言の中に、都落ちした水商売女のいかがわしさが漂うその演技は身震いするほど生々しい…。

原作にある、昭和独特のキナ臭く重苦しい空気感と危なっかしい痛々しさはしっかりと感じられる。鑑賞後、口の中が苦くなるような…決して一般受けしない青春物語、個人的には満足です^ ^

あの…世之介もですが、改めて高良健吾の良さを再確認できる作品ではあります。そして、やはり天神崎の夕景は美しい。
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