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17歳のカルテのan0nym0usのレビュー・感想・評価

17歳のカルテ(1999年製作の映画)
3.7
ウィノナ自身が患っていた境界性パーソナリティ障害について、とても詳らかに描き出されている秀作。個人的には女性視点というのも共感を得やすい…ウーピーとか。

深くは言及しないですが、この障害は男女の患者数の割合が1:3で女性が多い。それは男女の精神構造の違いなんでしょうね。

アンジーの入魂の演技は必見。
強烈に焼き付いてきます。
時に言葉よりも雄弁な、目で語るウィノナの演技も、傍を固める女優たちもそれぞれの役柄をしっかりと掴んでいる。

私たちは『観る側』として、彼女たちが自分の外側で起こす事に意識が向いてしまいますが…今作において、注視すべきは『内側』で起きている動きです。薄氷の上を歩くみたいな…気持ちが張り詰める感覚。

それが一番顕著になるのは終盤、リサが制御の効かなくなった感情を吐露する場面。
その痛恨のインパクトに飲まれます。

フロイトだとかデストルドーがどうだと語る気は毛頭ありませんが…私はそこにマッチ売りの少女の姿が思い浮かびました。

耐えられない寒さ。窓の内側はあんなにも暖かそうなのに、自分を温めるものはマッチだけ…その精神的孤独の冷たさ。

確かな手触りの実感が欲しいのに得られない。だから僅かな温もりを得る為にマッチを擦るって行為と、痛みや苦しみに逃げる行為が重なる。繊細で危うい…精一杯の自己表現。その脆さが愛おしい。

自己否定と肯定と…曖昧なバランスの上で生きてる私の方が逆に滑稽かもしれない。

色々と重なってるトコに重ためな一撃をもらってノックダウン…_:(´ཀ`」 ∠):
荒海…大時化…The Tempest…
シェイクスピア…読もうかな(*´-`)
たまには幸せに終わって癒されたいよね。
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