Emma

17歳のカルテのEmmaのレビュー・感想・評価

17歳のカルテ(1999年製作の映画)
4.0
アンジーの病的な美しさたるや!

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2015年のレビューではこう書いたけど改めて見直した2021年。全然違って見える。

女優さんの美しさ云々なんかより、それぞれのお芝居の繊細さに改めて心を動かされました。

それもそのはず、主演のウィノナライダーが役と同じ境界性パーソナリティ障害を経験していたのだと初めて知りました。主人公の心の脆さ、揺らぎを見事に表現していた背景には彼女自身のこの障害への経験値があったのですね。

また本作が実在のスザンナの自著伝だったことも2021年はじめて知りました。いやはや、これ実話なのね…

スザンナがリサの強気な態度や冷酷な振る舞いの理由を見抜けた時、「馴染むなよ」「(病棟に)安住してはいけない」と節々でかけられた言葉の意味を心で理解していく時、音を立てる様に外の世界への道が開かれていくのを私も感じました。

リサは捕らえられた鉢の中で他の魚を蹴散らしながら生きるはぐれ者。けっきょく鉢の中を漂っては行ったり来たりしているだけなのです。それはそれで、つらいね。

本作のメッセージの解釈は人の数だけあるのかなと思います。心の病と戦う人だけでなく。

個人的には、ここが自分の世界だと思うような閉鎖的な場所にいて、そこで悩み、自分を苦しめる存在がいたとしても、もっと視野を広げたら君はただの鉢のなかにいるだけなんだよ、外に飛び出してごらんと背中を押すような暖かさを感じました。

人はそこにいれば慣れてしまう、たとえそこが自分が来たかったはずの場所でなくても。それではいけない、前に進め、そんなメッセージを感じました。
Emma

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