マ帆

17歳のカルテのマ帆のネタバレレビュー・内容・結末

17歳のカルテ(1999年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

"カミソリ痛い 水は寒い 薬は苦い 銃は違法 縄は切れる ガスは臭い 生きてる方がマシ"

ストレンジャーシングス2周目中につきウィノナ・ライダー映画を観ていこう週間を同時進行。1本目はウィノナ製作総指揮・主演の実話映画。原作は精神病棟クレイモアで2年過ごしたスザンナ・ケイセンの回顧録。

素晴らしすぎた。。。
生き辛さにずっと感情移入。衝撃的な展開もあったけど私はクレイモアの優しい世界に涙が止まらなかった。
生き辛さを感じてる、感じたことがある人に観てほしい。

自殺を図り精神療養所に収容されるスザンナ。

"いつも死を空想する
映画を観て思い直して
電車に遅れてまた..."

周りの人から見れば死にたくなるほどの辛さじゃなくても本人からしたらその時の絶望が全てだったりする。「もっと大変な人はいる」「すぐに弱音を吐くな」そんな言葉で思い直すと思ってるのかな??
本人は冗談のつもりで言ったことすら忘れていても、言われた側はその言葉が頭から一生離れないのに。

勝手に決めつけた正常と異常の基準で個性を抑制し、枠からはみ出た人間は同じ建物に集めて世間から引き離せばいい。
その考えは絶対に間違ってるけど、クレイモアに入った事で同じ苦しみを抱えた同世代に出会い、「自殺」という、ある意味では自分の事しか見えていなかった生き方を変えていくスザンナの姿を観ていると色々考えさせられる。

こんな扱い間違ってる、でも「家も同じ」。
その憂鬱の分かりみが深すぎて、、

顔中に火傷の傷を追ったポリー。
空想虚言癖のジョージーナ。
そして反社会病のリサ。

こんなにかっこいいアンジェリーナ・ジョリーが存在したのかと頭を抱えた、、
ピチピチのTシャツにボサボサのブロンドにタバコ、破天荒な問題児。サマになりすぎてる、、

そんなリサに連れられて皆が夜中に病室を抜け出すシーンが好き。外に行くのではなく、タバコを吸いながらカルテを盗み読み。

スザンナが毎朝自分の考えを書き殴ってたノート。彼女のカルテは他人に書かれた紙っぺらなんかではなく、あのノートって事なんだろうな。自分の事は自分が1番知ってる。自分のカルテくらい自分で書く。
そう聞こえてきそうな目の演技がえぐう、、

あと不意打ちのオズの魔法使、
泣いてしまうからやめてほしい。

音楽・インテリア・色彩、全て完璧。
ダウンタウン(どこかで聞いたことがある)を歌うシーンも良すぎて頭から離れない。
古さを感じさせない傑作!
この監督『フォードvsフェラーリ』の監督か!
そらハマる!
マ帆

マ帆