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グラン・トリノのkarmapoliceのレビュー・感想・評価

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
4.3
Gran Torino:クリント・イーストウッド監督、製作、主演、ニック・シェンク脚本、カイル・イーストウッド音楽、トム・スターン撮影、2008年作品。タイトルとなったグラン・トリノとはフォードの車種フォード・トリノのうち、 1972年から1976年に生産されたものを指すらしい。

イーストウッド作品の中でもやはりけっこう好きなタイプだ。しかし今回は実は割と強めに男性向きなのかな?!とも思わされた。魅力は何と言っても朝鮮戦争の経験者でもあり、フォードの自動車組立工を50年勤めあげたポーランド系米国人ウォルト・コワルスキーのキャラだろう。このキャラがクリント・イーストウッドにハマりにハマっている事が強烈な吸引力になっていると思う。この頑固で偏屈な元軍人の爺さんが好きになれるか?で好みが分かれるような気がする。

奥さんの死後のヤノビッチ神父との会話で「私と生死について語りましょう」と言われると戦争体験をアッサリと語り切り、神父に「あなたは生よりも遥かに死の方が詳しようだ」と言われてしまう。

この物語を表したような会話でもあるだろう。モン族の善人たちとの交流はともかく、モン族のギャングたちとのやり取りはどこか西部劇を髣髴とさせる。侍魂にも通づるものがあるかも知れない。それ故に理屈や合理性では語り切れない行動の多い、頑固で偏屈なウォルト・コワルスキーのキャラクターが浮かび上がってくるのだと思う。沢山の工具に囲まれたグラン・トリノのガレージも実にその内面を表したかの様に象徴的だ。自分とは程遠いこのウォルト・コワルスキーに不思議と惹かれてしまっている(笑)

あのエンディングは映画的には、素晴らしくいいように思う。

この作品のスピリチュアルな部分が、タオのような若い男子に響くといいなと、スーのような若い女子にも理解されるといいなと、何となく思ってしまう(笑)
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