ぴのした

グラン・トリノのぴのしたのレビュー・感想・評価

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
4.2
名作の条件はいろいろあるけど、まずは分かりやすいことが第一だよなあと思う。

偏屈なジイさんが隣に越して来たアジア人と仲良くなって心を通わせるようになり….。

こういうストーリーって「地味だけどほのぼのいい映画でした。」くらいで終わりそうなものを、さすがイーストウッド、いろんな要素を継ぎ足して名作に仕上げている。

異文化との交流の中で、アメリカンな良さも教えつつ、忌み嫌っていたアジアの文化も意外といいじゃん!となる王道の展開はもちろん、最後にかけての物語の盛り上がり、そういうことか…!とハッとさせる展開、言葉の通じないばあちゃんに犬を預けるクスッとさせるシーンに、冒頭とラストを対照的な葬式でサンドイッチする構成のうまさ。

タオとの地下室での別れのシーン、2人の間を挟むのが細かい網でできた扉で、これがその直前の懺悔室をイメージさせる演出になっているのも凝っていてよかった。会話の内容も本当にウォルトが悔いている戦争の話で、「本当にしたかった懺悔はタオに。」と言わんばかり。

難しい映画だとそういう演出が分かりにくかったりするんだけど、そういった細かいところまでちゃんと分かりやすく作ってくれてるのが名作と呼ばれる理由なんだろうな。

王道でありながらまったく退屈しない最高のバランス感覚を持ち合わせた名作。イーストウッド、僕が今更いうことでもないけど名俳優かつ名監督だな。