オリカ

グラン・トリノのオリカのレビュー・感想・評価

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
4.8
ものすごく良かった。
初めて観たけど好きな映画。

朝鮮戦争の元軍人だったウォルトは、引退後、平和に暮らしている。
平和はずなのに、なにも面白くない。
イラつくことばかりだし、料理も味がしないし、隣人(アジア系の移民?モン族)も気に入らない。
身内とも溝があって上手く付き合えない。
その大きな原因はウォルトの性格というより、
本人は認識してない(しないようにしてる)けど、戦争で人を殺してしまったことに対する罪悪感とかトラウマに苦しんでいるから。
隣人との交流で少しずつ本来の?ウォルトを取り戻していく感じが良かった。

冒頭、ウォルトを唯一理解していたであろう妻の葬儀からスタートするのだけど、のっけから色んな事が気になってケチをつけたり嫌味を言ったり…とにかく言葉遣いが酷い。そして差別も酷い。
頑固親父(アメリカバージョン)な感じなのかな…

ウォルトの人柄がわかってくると、言葉遣いの酷さは気にならなくなるし、
こんな言葉遣いだけど悪い人じゃない…に不思議と変わっている。



--------以下ネタバレ---------




ラストは、どうしてもあのチンピラを皆殺しにして復讐して欲しい!って思っちゃうのだけど、やっぱりあのラストで良かったと思う。
罪を犯したら警察に捕まって服役すべきだし
タオやスーには、復讐で手を汚したり罪を背負わず、安心して未来を生きて欲しい。
色んな想いがあったのだろうなぁと思う。

タオを閉じ込めたあと、
「人を殺したらどんな気分か?一生最悪な気持ちを抱えて生きることになる。」
みたいな事を言っていた。
戦争でタオの様な未来ある青年を殺してしまったからこそ、今度は未来あるタオを守りたいって思ったんだろうなぁと。
そして「人を殺したのに勲章をもらったのがもっと最悪だ」とも言っていて。
相手を殺さず 復讐しなかったタオにその勲章をあげるのがとても素敵だと思う。

チンピラ達はウォルトと同じように、人を殺した最悪な気分を一生味わって生きていけばいい、という事なんだろうけど、
あそこまで酷いチンピラになると、そういう罪悪感を持ちそうにないのが悔しい。
「ちぇ、捕まっちまった〜」くらいにしか思ってなさそうで…

全体的にクリント・イーストウッドがとても渋くて格好良かった。

モン族の人達がお礼に色々家に持ってきて
「要らない、もうやめてくれ」
とか言ってたのに
「え、これこの前のチキン団子?じゃあ貰おう…」
みたいなやり取りが可愛かった(笑)
オリカ

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