inazuma

グラン・トリノのinazumaのレビュー・感想・評価

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
4.8
まったく!最近の若造ときたら!
…見るからに超頑固なジイさん、コワルスキーはかつて参加した朝鮮戦争での罪の意識にかられながら日々を送っている。さらにその頑固さから息子やその家族からも嫌われ、ついには最愛の妻まで亡くしてしまうというとても可哀想な人。ある日、隣に引っ越してきたモン族の少年との出会いを通して、コワルスキーに変化が訪れる。

イーストウッド作品は本作含めて3作しか観てませんが、今のところ本作がダントツお気に入り。重~い固~い話なんだろうという先入観がありましたが、あまりに笑える場面が多かったので面食らいました。それもブラックな笑いとかではなく、日常にある心が和やかになるような笑い。この笑いがあることによってコワルスキーという人間が分かってくるし、彼を取り巻く登場人物(僕たち観客含め)との距離もどんどん縮まっていく。たしかにこのジイさん、口を開けば人種差別用語や酷い言葉が次々出てくるのですが、それでさえも魅力的に見えてしまう。
好きなのはコワルスキーと床屋の"男同士の会話"。これは巻き戻して何回も見てしまう笑。
あと、コワルスキーと息子の電話シーンもすごく良かった。面倒臭そうに話をする息子ですが、、電話切ったあとの息子のあの表情。。ここは個人的にベストシーンかもしれない。こういうちょっとしたささやかな演出で泣かせにかかってくる。巧い!

まとめると、とても分かりやすいストーリーでいて、笑って泣けて、最後のエンドロールで清々しい余韻に浸らせてくれる映画です。こんな映画だとは思わなんだ!だってパッケージでは真っ暗な中、厳ついジイさんが銃持ってこっちを睨み付けてるんですよ。誰だって、『タクシードライバー』的な虐殺映画だと思うじゃないですか。世にいる"泣ける映画観たいわ~"とか"ホッコリする映画観たいんだな~"とか言ってる人でも全然楽しめる作品です。
inazuma

inazuma