Melko

女王蜂のMelkoのレビュー・感想・評価

女王蜂(1978年製作の映画)
3.6
石坂金田一マラソン4作目。
(⚠️作品のネタバレはしてませんが、シリーズ作品のネタバレがサラッと含まれます)

今までの市川崑/石坂金田一作品に出ていた、いぶし銀女優3人が堂々勢揃いとのことで、そこはなかなか興味深かったが、逆に言うとその演技合戦で終わった。。
いつもの、怨恨と悲劇の連鎖の悲劇性が弱く、最後のかばい合いも、それまでにその伏線がサブリミナル的に何度も挟まってたせいで「うんうん、、で?」といった感じ…

そもそも、言い寄られるとその人が死んじゃう「女王蜂」智子よりも
その母 琴絵の方が圧倒的に美しいことが、画面に智子が映る時間の方が長い故に個人的にめっちゃ不満。
だから何となく、全体通して画に華がない印象。
新人ゆえのいわゆる芋さはないが、その分華やかさもあまりなく、勝ち気な性格で事件に果敢に首突っ込んで関わって行くのかと思いきや、キャーとかアアッて悲鳴上げるだけでビビるだけ。。(原作未読なのであまり言えないが)

振り回され翻弄される男性陣も地味一辺倒で名前も印象に残らない…

その分、高峰三枝子/司葉子/岸恵子という、石坂金田一1,2,3作目の犯人トリオ共演が目に豪華。ものすごい安定感。
それぞれが、計算されたかのようにキッチリとした画角で映されてて、監督、分かってるなあ〜という感じ。ちゃんと高峰三枝子の時だけシャーかかってるし、岸恵子の時は右下から左上から色んな角度で撮られてるし、司葉子の泣き顔のアップは時間をかけてゆっくり取られてるし…!

坂口良子は安定の可愛さ。

頭かち割られたり背中刺されたり、殺され方はなかなかエグい…が、トリック自体はあってないようなもの。正面突破、人が人をかばいあうことで捜査が混乱。

今回も犯人は悲惨な結末を遂げるが、今までの中では少しだけ希望のある、救われる終わり方だった気がする。
親の因果を清算し、真正面からドンと受け止めつつ、前に進む。それを、悲劇の見物人もしっかり見届け受け入れる。共に涙する。

毎回登場のたびにこちらをイライラさせてくれる等々力警部だが、今回はラストのセリフが結構イカしてた!
「金田一さん、あなたは間違ってなかったよ」と。。

さすがにここまで見ると、シリーズ通して同じキャストが、違う名前違う役回り/同じ名前だけど金田一と初対面等様々な役で出てくることが楽しくなってきた!
と思ったら石坂金田一は次がラストか…
ちょっと寂しい。。
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