フラハティ

女王蜂のフラハティのレビュー・感想・評価

女王蜂(1978年製作の映画)
3.0
市川崑監督の金田一耕助作品第四作。


恐らく三部作で終わらせる目論みだったんだろうけど、普通に作られてしまう四作目。
そして制作時期も異常に早く、本作は
前作の『獄門島』よりたった一年後。
かつ『火の鳥』も制作しているため、市川監督のブラックな仕事具合が察せられる。
でもここまでまとめきるのは素直にすごい。
すっかり見慣れたキャストと、前作までに主要な人物として登場してきたキャストも加わる。

女王蜂に惹かれたものは命を落とす。
魔性の女王蜂は身も心も腫らしてしまう。
冒頭からあっという間に死人が出て、一気にタイトルまで進む。
このスピード感は引き付けるね。


本作は今までの市川金田一作品とはちょっと変わり、閉鎖的な田舎でもなければ疎外感のある孤島でもない。
19年前から閉じ込められたある部屋。
この扉をこじ開ければすべての真相はわかる。
そういった要素があるものの、今までのワクワク感はちょっと少ないかな。
憎悪、畏怖、土着的要素はあまりないため結構あっさりの印象もあったかな。
その分金田一耕助の探偵ぶりが何だか際立っているようで好きではあるんだけど。
あ、そういえば頭掻くシーンなかった気がする。

何かに見立てた殺人ではないので、普通に殺されていく被害者たち。
なんで殺される?という疑問符がつく人物もいるけれど、リアルタイムで殺されるシーンがあるためそういったインパクトは強い。


今までの突如白黒になる演出や、ストップモーションも健在でありながら、画面六分割が出てきたときはちょっとびっくり。面白いね。
後半から犯人発覚まではどうしても足踏み感があって冗長感は否めないんだけど、ラストシーンはなかなかいい。
このシリーズは毎回ラストにいい余韻を残してくれる。

さすがに仲代達矢の学ラン姿は衝撃。
真っ裸の疾走は特筆に値する。
あと中井貴恵の“女王蜂”はやはり賛否が分かれるんだろうな。
魔性さはあんまりないように見えたしね。
よし、一応シリーズとしては最後扱いの『病院坂』へ。
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