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ガルシアの首のkouのレビュー・感想・評価

ガルシアの首(1974年製作の映画)
4.5
《孤独な男の執念》
男らしい映画を撮らせたらやはりこの監督の右に出るものはいないだろう。「ワイルドバンチ」などのサム・ペキンパー監督作。そして、その中でも傑作との呼び声の高い作品。観ている間、やっぱり男臭く、そして男の渋くかっこいい姿を描いていた。

メキシコの地主の娘が妊娠し、その相手であるガルシアの首をもってこいという所から映画は始まる。ピアノマンのベニーは恋人であるエリータと共に事故で死んだと言われるガルシアの首を探しに彼の故郷へ向かう。激しい銃撃戦やスローモーションの多用などペキンパーらしい演出は勿論。画面のホコリ臭さ、血生臭さまで感じられる画作りも素晴らしかった。照りつける太陽や熱さまで感じ、首の放つ悪臭がこちらまで漂ってくる、華やかさなど無い作品だが、それでも惹きつけられるのは殺された恋人への思いから、孤高にも自問自答を繰り返し、車を走らせる姿だ。ある執念にとらわれ、死んだ男の首と会話をしているその姿が印象的だった。

また、今作は男の映画ではあるのだが、愛する女性への思いというのがとても重要な部分を占めている。ベニーの恋人であるエリータは昔ガルシアの恋人であったり、途中暴漢に襲われそうになる。そんな彼女への複雑な思いと、それでも続く愛。その愛するものを失った、怒りのこもったラストシーンは最後まで目を離すことが出来ない。

「ワイルドバンチ」も最高だが、怒りから敵の元へ向かっていく一人の男の姿はやはり何とも言えない感動を生む。血とホコリと熱さと、そのどろどろとした世界感も、決して綺麗ではない映画の魅力にあふれていると思う。素晴らしく、かっこよかった。
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