よしまる

ガルシアの首のよしまるのレビュー・感想・評価

ガルシアの首(1974年製作の映画)
4.6
 大好きな監督の大好きな作品、他の方に貶されると猛烈に悲しかったり、かと言って手放しで褒められると独占欲が湧いたり本当に解ってんの?と勘繰ったりと、とかく人は山を見るとてっぺんへと登りたくなる厄介なものでしてw

 ところがペキンパー作品、なかでもこの「私にガルシアの首を持ってきて❤️(意訳)」は、他の人が貶すと「ですよねー♪」と軽くあしらえて、褒めると「おー、同志!」と速攻抱きしめたくなるという、自分の中でも稀有な映画。逆に言うとそれだけ分かってもらいにくいし、また分かるとたまらなく好きになる、まことペキンパーらしさに溢れた作品だ。

 例えば女の子をキュンとさせることなんて一生出来なくて、もちろん銃なんてぶっ放せなくて、下手すりゃ酒も飲めなくて運転もできなくて、みたいな男も現実にはたくさんいるのだけれど、映画の中ではそれが許される。男ならこんなふうにダメダメで生きてみるのも楽しいのに、そして男ならたとえ犬死にしてでも自分の信念を通してみたい、そんな願望を叶えてくれるのがペキンパーという監督で、同じ男でも、いや、そんなん自分に無いしあり得んし、という男に生まれた方には一生無意味な存在なのだろうと思う。

 全然作品について書けてないがw、男が男である哀しさと、男が男でありたいという想いをこれでもかと描いているので、ちょっと自分の心の内を覗き込んでみて、ダメダメになってムチャクチャに暴れてみたい部分が顔を出したのなら死ぬまでに観てみるといいと思う。

 ダラダラとうだつのあがらない中盤のヨレた感じや、突如百発百中のガンマンになってビックリする感じはほとほと受け入れ難い人もいるだろう。でも、わかる人には最高の映画となるはず。
 それこそが男の願望、極上のファンタジーなのだから。