SatoshiFujiwara

スペイン狂想曲のSatoshiFujiwaraのレビュー・感想・評価

スペイン狂想曲(1934年製作の映画)
3.4
興行的にコケたためかこの作品でスタンバーグ&ディートリッヒの黄金コンビが解消されたとか何とか。

スペインが舞台でディートリッヒが演じる女はタバコ工場の女工、フィルム・ノワール風に言えば「ファム・ファタール」的な男をたぶらかす存在、かつ闘牛士が出てくる設定からは誰もが『カルメン』を思い出すしかないだろうが(ピエール・ルイスの原作がそうなのか映画での脚色なのかは知らんが)、徹底的に魔性の女として愚鈍なのか聡明なのか分からない、なんとも捉えがたい怪物的な存在としてディートリッヒが実にすばらしい存在感を発揮する。しかも軽みがある。ディートリッヒ作品をそんなに観たわけじゃないが、案外これが最良の部類なんじゃないか。

まあスペインが舞台ってことで、もちろん観光絵葉書的な紋切り型イメージの連鎖なのは時代が時代だし仕方ないが、楽しい(自由なアレンジによるリムスキー=コルサコフの『スペイン奇想曲』の使われ方ね)。佳作ですね。
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