白

エリックを探しての白のネタバレレビュー・内容・結末

エリックを探して(2009年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

無力感に打ちのめされたエリックを救ったのは幻想であり、それは彼が長年英雄視する存在だった。自己に内包する全能感はカントナに準えられ、その全くの異性によって彼は行動力と意志を補強していく。庶民の娯楽であるスポーツ観戦の与える原動力、意志を届けるという意味での郵便配達人(不通→疎通)。
エリックが彼との対話=自問自答(個)を次第に超越して周囲を巻き込み社会悪に勝利する展開に、ケンローチは社会を糾弾しながらも個人の可能性を模索し、激励する作家なんだと改めて理解。
この勧善懲悪社会派ユーモラス、何となく中弛みして観てしまったが随所のコメディは面白いし、ラストの爽快感も良い。一連のギャングとの絡みでは緊張感が物足りなかったがローチ流の「どうしようもなさ」との葛藤を観れて良かった。
白