いたばくし

ダウン・バイ・ローのいたばくしのレビュー・感想・評価

ダウン・バイ・ロー(1986年製作の映画)
4.0
トム・ウェイツがもう、最高にカッコいいです。ピアノもギターも持っていない彼がスクリーンの中でこんなにも渋くて、ハードボイルドで、キュートな役者になるなんて。本作はトムの初主演映画ということで、その才覚を見抜いたジャームッシュは流石ですね。

ジャームッシュの映画をあれこれ言葉で語るのは野暮だと思いますが、本作は映画的な「気持ち良い」がぎっしり詰まった作品です。
ただぼーっと、軽い気持ちで画面を眺めていれば、いつの間にか心軽く、気持ちよくなれるんですよね。休日にのんびりコーヒーを飲んでいるときのような心地良さです。

個性がバラバラの3人の男達が獄中で打ち解け、ひとつのゴールに向けて団結した瞬間の微笑ましさ。そして、最後は袂を分かち各々の道を進むときの潔さ。男の生き様、男の人生の気持ち良さをここまで快活に描いた映画があるでしょうか。

ジョン・ルーリーもロベルト・ベニーニも最高なんですけど、でもやっぱりトム・ウェイツだなあ。いつの日か、酒瓶持って俺の目の前で歌ってくれませんか…。