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機動警察パトレイバー2 the MovieのTheWannabeesのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

押井の作品を観るのは二作目(しかもパトレイバーのことをほとんど知らなかった……)だが、終盤の台詞でこの作品でも「夢と現実」がテーマになっていることに気がついた。
柘植の目的は政治思想によるクーデターではなかった。では何か。この国の虚構を破壊することが目的だった、と言われる。
戦争が起きない国や街は幻想であり、人々はそこで虚構に満ちた暮らしを、現実と思い込んで謳歌している。動機は語られていないが、かつて異国で戦争を知ったことは、大いに関係があるのだろう。しかし南雲との対話で「それを現実と思っている人たちさえも、幻というのか」と言われるのは興味深かった。醒めない夢でも、それを守るのが警察なのかもしれない。彼もまた最後に「この街を見ていたかったから」と語るのは、どこかでアンビバレントな感情を抱いていたからではないだろうか。そう思うと、南雲との関係はなんともやりきれないものがある。
それにしても雪の描写が非常に美しいことだ。動乱がエモになってしまう例。この情景描写だけでも見た価値が大いにあった。
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