喜連川風連

機動警察パトレイバー2 the Movieの喜連川風連のレビュー・感想・評価

4.7
パト1でエンタメ娯楽をやり、パト2で骨太社会派思想ドラマをやる!

不正義の平和か、正義の戦争か。
禅問答のような問いかけが全編にわたって続く。

魚眼レンズで歪められた表情・幻影のような東京の街並み・忘れ去られた地下の遺構・鳥が物語る不気味さ。

戦前日本の遺構、地下鉄旧新橋駅をこれ見よがしに登場させ、その上に立つ、アメリカによって作られた現代日本を演出する。

隅田川の橋をあれだけ落とし、通信も途絶されたとなると、さながら、東京が孤島のようである。

戦争はいつでも、我々の生活と地続きに続いている。そのことをわかせるための犯罪・・・

自衛隊PKO派遣により、戦場を経験した、拓殖。
戦地から東京に戻ってきても、誰もそこに関心や感謝の念を持とうとしない。

戦後日本への、矛盾。
20年間戦地で戦い続けた小野田寛郎さんを思い出した。

戦闘シーンの圧倒的リアリズムは、シンゴジラを彷彿とさせる。

アニメ最大の見せ場である特車2課の戦闘シーンも、大半が失敗に終わり、生々しさ・重苦しさが際立つ。
それがまたいい。

ジブリもいいけど、日本は押井守をもっと評価するべきなように思う。
喜連川風連

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