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浮草物語のファンロードのレビュー・感想・評価

浮草物語(1934年製作の映画)
3.0
旅芸人一座の親方、喜八は旅の巡業で訪れた村のある女の家に度々、訪れていた。
その女は昔、喜八と関係があった女で、喜八との間に生まれた息子と長年暮らしていた。
それを気に入らない旅の一座の恋人の女は、同じく旅の一座の若い女、おとき(坪内美子)を使って、
息子の信吉を色じかけして、だますように頼む。
しかし、次第におときは信吉に本気で恋してしまい……
というストーリー。
サイレント映画で、1934年作品という時代的価値のある映画。
我々、若い世代が知らない未知の日本の世界を見ることができる。
本来なら古めかしいボロボロの映像かも知れないが、DVD版はデジタルリマスターで修復しており、
すっきりとした白黒映像を見ることができる。基本、デジタルリマスターは反対派だが、
この場合はしかたない。あらためて昔の日本は風情があっていいなあと実感。
昭和初期っていうのは、田舎じゃみんな着物や浴衣を着てるし、まるで江戸時代のようだな。
戦前の日本というのは本当に日本の伝統文化が純粋に受け継がれていた証拠だ。
一方で、けっこう電柱が立っていたり、SL機関車が走ってたりと、文明の開花も知ることができる。
本作は映像の合間に文字が入る形なのだが、長く複雑な文章はなく、シンプルで読みやすい。
しかし、文字が旧字体なのでまったく知識がない人間には読みにくいかも知れない。
このDVDは新品がAmazonで3000円から2000円に値下げされていたのでチャンスと思い購入。
昔から、おとき役の坪内美子さんを見たかったのである。実際に非常に美しい女優さんでした。
映画時間は80分ほど。本DVD版はディスク2枚組で、もうひとつは同じ監督の出来ごころという作品。
古い本物の日本を知りたい人、古い日本を知らない人はぜひ見るべき映画だ。