TakahisaHarada

時をかける少女のTakahisaHaradaのレビュー・感想・評価

時をかける少女(2006年製作の映画)
4.0
1983年版映画とかで描かれてる原作の20年後が舞台。過去作は1983年版映画しか観たことないけど、その世界観を壊さずに新しい物語を展開していてとても良かった。

細田監督が「すごく身近な人を主人公にしたい。普通の人が頑張った先に特別な存在に変化する瞬間を見たい」と言ってたように、キザなセリフ連発だった1983年版とは違ってちょい内向的で等身大のキャラクターと作り物すぎないセリフって感じがして良かった。些細なことにタイムリープ使ったり、功介と果穂をくっつけようと試行錯誤するの笑った。
真琴や功介との何気ない日常が楽しくて夏まで現代に残ってしまう千昭、千昭を未来に送り届けるためにタイムリープを使う真琴、2人のラストも切なくて良い。ただ、最後に真琴のタイムリープのカウントが戻る理屈だけいまいち分からなかった。(千昭と結託すれば延々タイムリープできない?)

一番印象に残ったのは「お前、タイムリープしてね?」のシーン。「君の名は」一葉の「あんた今、夢を見とるな?」と同じく安全圏から観てるはずのこっちが脅かされる、深淵に覗かれる的映画体験。1983年版を観てて薄々は気付いてた(序盤の美術館のシーンで絵の前にいた?髪色が違うように見えた…)ので、鳥肌が立った「君の名は」ほどの衝撃ではなかったけど。
後から考えると「数学はできるが簡単な漢字が読めない」とかリストバンドとか伏線になってたんだなと気付く。

20年後の芳山和子、「いつか必ず戻ってくる」誰かを待ってなのか結婚せずにいる設定良かったし、そもそも真琴の母は和子よりませてたあの妹だったんだな。
深町が語った未来と千昭が語った未来、人口爆発が人口減少に変わってたり(千昭が「こんなに人がいるの初めて見た」と言ってた)、どっちもディストピア感あるけど20年ちょっとでその度合いが強まった気がした。