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ハーダー・ゼイ・カムの一人旅のレビュー・感想・評価

ハーダー・ゼイ・カム(1973年製作の映画)
3.0
ペリー・ヘンゼル監督作。

カリブ海の小国:ジャマイカの自国制作映画第一号で、レゲエミュージシャンのジミー・クリフが破滅の道を辿る青年を演じます。

ミュージシャンとしての成功を夢見て貧しい農村から首都キングストンに出てきた主人公の青年:アイヴァンの姿を描いた物語で、自作の楽曲「ハーダー・ゼイ・カム」を音楽プロデューサーに売り込むも失敗してしまった主人公が経済苦を理由に違法麻薬ビジネスに手を染めていく様子とその後の末路を映し出しています。

レゲエに代表される音楽文化&業界の搾取構造、若者ファッション、キリスト教&教会、失業&貧困、麻薬の蔓延、犯罪と暴力、警察組織の腐敗…と70年代初頭のジャマイカ社会の実情を背景にした社会派な作品となっていて、田舎育ちの金なし若造が社会の手厳しさに揉まれながら転落していく様子を喧騒と陽光のキングストンの都市風景の中にエネルギッシュに描き出しています。

映画制作に手慣れていないためか、作劇自体は粗削りな印象を受けるB級テイストな“レゲエ+青春転落劇”で、数々の有名レゲエミュージックが劇中を彩った本場ジャマイカ発の伝説的レゲエ映画であります。
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