ドント

マッドボンバーのドントのレビュー・感想・評価

マッドボンバー(1972年製作の映画)
3.6
72年。不正はびこるLAの街で、ジャスティス爆弾魔おじさんが逆恨み的に爆弾を仕掛け、彼の姿を目撃した強姦魔がそれはそれとして女を襲い続け、警官は法を無視しつつ捜査を行う犯罪ドラマ。
行き過ぎた捜査をする警官はともかく、メインの犯罪者2人の顔と演技が強烈で忌まわしさを感じるほど。長身で顔が長く神経症的に「正しいこと」をやっていく爆弾魔、小柄でボテッとした顔で趣味に付き合ってくれる奥さんがいるのに暴行を働くふてぶてしい強姦魔。ろくでもねぇ世界の煮こごりである後者(中途で出てくる強姦未遂犯たちの群れを見よ)に対して、正義を成そうとする前者は単なるスーパー独りよがりで、警察は良くも悪くも影が薄く、観る者はよるべない気持ちになりもはや誰も救われない。
女性の半数が脱いでるのでは、と思わせる「サービス」ぶりの反面、喜んで脱いでいる人がほぼ誰もいないので何だか悲しくなる。この世に倫理などない、という気持ちにさせられるし、その象徴とその対立軸としてメイン2人がいるのだろう。予算が少なかったがゆえかぬるい場面も散見されるが(正答前提のモンタージュ、爆破用のコードが見えちゃうバイク等)引き締まった場面も多く、終盤のゴア表現は目を見張るほど直接的でものすごい。BGMの微妙な不釣り合いさが厭な感じを加速させる。なお性的・暴力シーンがカットされたTV放送バージョンが特典として丸ごと収録されている。
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