さうすぽー

リトル・ダンサーのさうすぽーのレビュー・感想・評価

リトル・ダンサー(2000年製作の映画)
4.6
自己満足点 90点

ここ最近観た映画が流血の多いものに偏ってしまったので(笑)、息抜きがてらに観賞しました。

低予算でありながら大ヒットし、後にミュージカル化もされてる映画ですが、実を言うとこの映画は全く知りませんでした。
なので期待する間もなく観たのですが、非常に良い映画でした!
ここまで心暖まる映画だとは思わなかったです!


内容はマーガレット・サッチャー政権下のイギリスが舞台で、ボクシングをやっていた男の子がある日ふとした事が切っ掛けでバレエの練習を目にし、バレエにのめり込んでいく内容。

サッチャー政権で音楽系の映画と言えば去年の「カセットテープ・ダイアリーズ」を思い出させますが、父親との対立と和解という点でも共通していますね。


この映画では何故父親と対立してしまうか?
それは「男の子がバレエをやる」という点です。
バレエを習っている子供は日本でも女の子が多いイメージで、男は球技や格闘技という固定イメージがどうしても付いてしまいます。
固定イメージが付いてるが故に「男が女子のやるものをやるのか!?」みたいな抵抗が起きてしまうのかもしれませんが、冷静に考えると完全におかしいことであり、周りがそうさせてるのかもしれません。
そのテーマは日本のドラマ「トクサツガガガ」でも描かれていましたが、80年代のイギリスでは「男の子は球技や格闘技、女の子はバレエ」というのが悪い意味で定着していたのかもしれません。


また、主人公の男の子とバレエを指導するコーチとの関係性も非常に良いです。
主人公は母親を幼い頃に亡くした関係で寂しさを感じており、そんな中でバレエのコーチに対して様々な葛藤をぶつける光景はどこかこの主人公がコーチを母親のように接してるのではないかとも思えてきて思わずジーンと来てしまいます。

労働組合のストに参加している兄と父のやり取りも非常に良く、不器用な親子ながらも絆を感じさせられるものになっており、非常に繊細に描かれていたのも好きです。


この映画で賛否が分かれるとしたら、思春期の男女が平気でキツい下ネタを言ってる場面ですかね?
自分もいくつか気になったので、そこがダメな人は少し苦手意識を感じるかもしれません。

また、「バレエに反対していて最後らへんでもよく解らないと言ってた父親が、何故主人公の才能を感じたのかが理解出来ない」という感想も見掛けました。
でも、現実はそんなものだと思います。
自分もダンスに関してはだいぶ素人なので、ダンスの上手い下手を見抜ける自信は無いです。ただ、そんな自分みたいな素人でも時々上手いダンスを見ると上手く言い表せない感動が沸いてきます。
主人公のダンスを見た父親にはそんな感動が生まれたのかもしれません。


バレエを題材にした作品としても素晴らしいし、観た後に非常に心暖まる良い映画でした!