矢吹

リトル・ダンサーの矢吹のレビュー・感想・評価

リトル・ダンサー(2000年製作の映画)
4.0
こっちへ、ウィリアム。
ビリーです。ビリー・エリオット。

踊りだしの画面がマジで好き。足元とか表情とかで見せるのすこ。
あと、ターン一つで何シーンもカットバックして成長を一発で描く感じも最高。その後のできた喜びも含めて。
どんなに小さくても、なにか一つのことができるようになることが嬉しかったあの頃を思い出す。
努力が身を結んだ瞬間の無敵感。
愚直にやるって素敵ですよね。

大人たちの押し付け。視線。
それを上から見下ろすシーンがめちゃくちゃ面白い。
天井を見渡すシーンとか、たまに入るアイオブビリーショットが無邪気でいい。
審査員を見る視線も、緊張がめちゃくちゃ伝わる。

全体的に鏡のような対比的な演出。

ストを取り締まる側の警察を壁がわりにつかう。棒でつらつら。
男だってバレエをやれるわ。
警察車両とともにいなくなる女の子。
規制とか壁を取り払うメタファー兼トリガーとなる先生と娘、ダンス。
パトカーが随所でお仕事するのよね。
エリオットのカモフラージュとかも。

警察の警戒態勢の中を颯爽とバレエへ向かうビリー。
取り締まりがストライキとバレエの関係性、父と息子の関係性を引き立てる。
ざっくり言うと父=ストライキ
対社会、じゃなくて、対父親。
親という壁との戦い。子供ならでは。自立。

ストには先が見えている。
炭鉱は終わりだよ。赤字だ。

ビリーがバレエを通して男らしさを体得するのも素晴らしいな。
ボクシングではなよなよしてたけど、男であることを持ったままバレエを続ける。
「見せなくたって好きだよ」
女の子もトランスジェンダーな友達も対比的な装置になる。

そしておかげさまで
安易な二元論に逃げかけた。危ない。
対立はわかりやすく描いてるけど。
そもそもストの影響でバレエと出会うし。
前半はこんな感じ。
そして父はストから脱却する。

人は変わるのさ。

これは息子を親父が支える話で、父の成長物語でもある。
みんな闘ってんだ。

父の前でぶつける感情とダンス。
やっぱりダンスは芸術だ。
めちゃくちゃ響いたシーン。

諦めない情熱が人を動かした。
少年の秘密の闘争。

小学生は借りられないの?

憧れと現実。バレエなんてってのもわかっちゃいるけどやめられない。上手くなりたいって言うだけで、やめる必要なんてない。

オーディション待ちの、
お父さんのそわそわが最高でした。
努力の先にあるものとは。

あの子には未来がある。

ガールズバーのお姉ちゃんがお勧めする映画ランキング一位らしい。サルプルは一つですが。
やっぱり誰にでもお勧めできる映画であることは間違いない。

ダンスをしていると何もかもを忘れられる。自由。
音楽と共にある冒頭のビリーの笑顔がエンディングに戻ってきてほっこり。

I miss you
矢吹

矢吹