KnightsofOdessa

散歩する惑星のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

散歩する惑星(2000年製作の映画)
3.0
[] 60点

三部作全てが別々の映画祭コンペに登場した例はクシシュトフ・キェシロフスキの"トリコロール三部作"とウルリヒ・ザイドルの"パラダイス三部作"しかないはずだが、実はロイ・アンダーソンも惜しいところまでいっていたことを知る。本作品から『愛おしき隣人』『さよなら、人類』までの"リビング・トリロジー"は、『愛おしき隣人』がベルリンに出ていたらコンプしていたのだ。ということで、前作『ギリアップ』から25年の沈黙を経て全く違う作風として再誕した記念すべき一作目を。いきなり日焼け装置に入って解雇通知する社長が登場し、彼に解雇された勤続30年のベテランが社長の足にすがりついて引きずられていく場面に切り替わる。以降も、店が消失した男など、顔色が悪すぎる人々が絶望的に冷たい世界で必死に生きようとする姿を描いていく。『さよなら、人類』を映画館で観たときは爆睡したが、配信だと適当なタイミングで止められるので、実は配信向きな作品なのかもしれない(とか言うと本人に怒られそうだが)。個人的には人体切断ショーで実際に切られそうになる人と電車の扉に指を挟んだ人とバーで立てなくなって上からゲロ被る人が好き。今回は中世の黒死病時代みたいなむち打ち苦行者の隊列が背景に登場するなど、ロイ・アンダーソンにしては人がいっぱい出てくるなあという印象。
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