8bit

ストレンジ・デイズ/1999年12月31日の8bitのレビュー・感想・評価

4.0
キャスリン・ビグロー監督、ジェームズ・キャメロン脚本という元夫婦の最強タッグで描く、
1999年12月31日のロサンゼルスで起こる連続殺人事件。

物語のキーとなるのは、ディスクに記録された他人の記憶を、五感で追体験できるという〝スクイッド〟という機器。
部屋に居ながらにして銀行強盗になったり、18歳の女の子になってシャワーを浴びたり、両脚を失った人が波打つ砂浜を裸足で走ることができたりという、VRを先取りしたような設定と、それを表現した完全主観映像に公開当時は驚きました。
めっちゃ酔いましたが。
なにしろ『ハードコア』と同じことを20年以上前にやってるんです。

レイフ・ファインズ演じる主人公はこのディスクを不法に製造し売りさばくディーラーで、自身も別れた恋人のことが忘れられず、彼女との記憶ディスクに依存する現実逃避者。
そんな弱い男に惚れつつも「過去はもう戻らないの。現実をみなさい!」と檄を飛ばす女ボディガードがアンジェラ・バセット。
この〝強い女性〟像はまさにジェームズ・キャメロン節。
黒人への差別が事件の根底にあったりするのも、後に社会派映画の代表的存在となるキャスリン・ビグロー監督だけに、この頃から軸はブレていなかったと感じます。

実際にロサンゼルスで何万人ものエキストラを動員し撮影されたというクライマックスのカウントダウンシーンはとにかく圧巻。
A Happy New Year 2000の熱狂の中で迎えるロマンティックなラストシーンからのピーター・ガブリエル&ディープ・フォレストによる神主題歌〝While the earth sleeps〟が格好良すぎて毎回ちびります。
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