歌うしらみがおりました

炎と女の歌うしらみがおりましたのレビュー・感想・評価

炎と女(1967年製作の映画)
4.0
岡田茉莉子がビニール傘を下ろすと仰角で捉えたカメラには立子を覆う膜のように映る。が、遠くから見ると立子と坂口二人が傘の中に入り込んでいるように見え、事実誤認を誘う。作中、傘やガラス窓など遮蔽物のようなものが岡田茉莉子とカメラを隔てる。隔てなくても、イカれた照明で表情を覆い隠す。鏡は登場人物達の距離感や立ち位置を見る者に混乱させ、劇伴は不穏にトコトコ鳴る。
白眉は室内における複数人での会話シーンで、人物が入れ代わり立ち代わり画面の主役となり、カメラは常に適切な、或いは気取ったポジションにあり続けられるように動き回る。中でも小川眞由美の奔放な動線には目が離せない。