マヒロ

エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事のマヒロのレビュー・感想・評価

3.0
弁護士でありアメリカ貴族でもあるニューランド(ダニエル=デイ・ルイス)は、名家の娘・メイ(ウィノナ・ライダー)との結婚を間近に控えていたが、ヨーロッパで伯爵と結婚していたメイの従姉妹・エレン(ミシェル・ファイファー)が夫の暴力に耐えかねアメリカへ逃げ帰ってくる。結婚に失敗したエレンを一族は邪険に扱うが、型にはまらない性格の彼女にニューランドは徐々に惹かれていく……というお話。

都会の夜景や血生臭い争いのイメージが強いスコセッシ監督作品だけど、今作ではそれらとは全く違う上流階級の人たちの恋愛模様を描いている。違うといっても場所はいつも通りニューヨークだが。

上流階級の人々はとにかくうわべだけの取り繕いに終始し、食事の席での話はくだらないゴシップで、メンツのために邪魔な人は地味な嫌がらせで排除しようとするなどしょうもない奴らばかりで、型破りなエレンが魅力的に見えるのも分からんでもない。ただ、素朴な女の子みたいに見えたメイも割としたたかなタイプで、静かに巻き起こる隠し事の化かし合いみたいなものがなかなかスリリング。

基本画面は着飾った人々が優雅に動き回るお上品なイメージだけど、葉巻を吸うだけのシーンがやたら小気味好く描かれていたり、人混みの中を歩いて回る長回しだったりナレーションがストーリーを語る作りなど、スコセッシ印のキマッた演出がところどころ滲み出てくる感じがなんか面白かった。

(2019.143)
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