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ザ・スピリットのMASHのレビュー・感想・評価

ザ・スピリット(2008年製作の映画)
1.5
おぉ〜…。評判がかなりイマイチなのである程度覚悟して観たものの、これはかなりのものだな。コミック作家としては一流のフランク・ミラーも、映画監督としてはイマイチであると言わざるを得ない。

そもそもなぜこの映画を観ようと思ったにか。それはフランク・ミラーが参加している『シン・シティ』と同じような雰囲気のこの映画に惹かれたからだ。『シン・シティ』は原作コミックから飛び出してきたようで、スタイリッシュかつセンス溢れる映像であった。しかし、『ザ・スピリット』ではこのスタイルで撮った意味がない。ただカッコイイからというだけなのだ。

そもそも映画のトーン自体が意味不明である。主人公のモノローグなど明らかに『シン・シティ』のハードボイルドさを意識しているのに、1960年代に放送していたバットマンのテレビシリーズのようなくだらなさもある。かと思えば、真っ当なヒーロー映画っぽいシーンもある。そしてその途中途中に意味不明なギャグシーン。このノリが見事にスベっているのだ。

ストーリー自体は非常に退屈だ。フィルムノワールを気取ってはいるが、大したことのない事件しか起きていない。中盤は本当に唐突な謎のギャグシーン(?)しかなくて、観るのがそこそこ苦痛だった(笑。キャラクターもこれまた退屈。唯一の救いは我らがサミュエル・L・ジャクソン。もう端から良い演技をする気はなく、オーバーな演技で観客を楽しませてくれる。ダメダメ脚本でも彼がやればなんか面白くなる。

その独特な映像がピッタリとハマっているシーンもある。うまいこといけば『シン・シティ』同様唯一無二の作品になれていたかもしれない。しかし、つたない脚本と監督としての技量の足りなさもあり、なかなかの駄作になってしまった。これで続編を作るつもりの終わり方なのだから笑ってしまう。
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