リコリス

トップガンのリコリスのレビュー・感想・評価

トップガン(1986年製作の映画)
4.7
トップガン新旧連続上映を見た記念日に改めてレビュー。これは大画面でしょう。

連続して見ると、前作も相当脚本が練られ、ただのスター・プロモーション・ムービーでないことが分かる。
グースの死がマーヴェリックにとって家族を失ったような深いダメージだったのか(何故マーヴは仲間の生還に自分の命を賭けるようになったのか)、何故マーヴが無謀に振舞うのか(そして一見イヤな敵役だが、冷静かつ思いやりありマーヴの実力を人一倍知るアイスマンは司令官にまで昇り詰めたのか)、ヴァイパー(ある種マーヴの父)は何故グースを亡くしたマーヴを救援に行かせたか(同様にマーヴはルースターを選び出撃させたか)など、目立つ恋愛要素(背伸びから内面の成長で対等に)まで、それぞれの人物の内面描写に深みがあり、続編がよりくっきり見えてくる。

それにしてもトム圧巻の若さと美貌(ヴァルもそうね)。(勿論、今のトムは自信とオーラに溢れ渋カッコいいが)。
少し右頰を上げて口を半開きで微笑む顔とか、まさに紅顔の美少年。更に顔だけでなく(笑)演技力も。例えばトップガンにグースと選ばれた話を聞く場面、目と鼻の演技だけで魅せる。
そう、トム、若い頃、演技派の誉れも高かった(のに、美貌が邪魔を…)(で「7月4日に生まれて」とか「マグノリア」とか、ヴァンパイアまでしたんだなあ…アクション俳優として開き直るまでは)

バリバリVFXがない時代に大画面に耐える実写迫力(アップしたパラマウントのロゴは少しボケるというのに)。サンディエゴの街の風情も美しい。トニー・スコット監督に改めて感謝。

また何度となく、「あ、あのシーン」という旧作リスペクト(追いトップガンしてるので、旧作観ると新作場面が浮かぶのは私だけ?(笑)。

出だしのトップガン解説に女性が入っていないのと、エンドロールに実際の海軍戦闘機乗りのコールネームが出てくるのに時代を感じる。

トム、本当にありがとう。良いワインは寝かせなくても旨いんだ。

以下、新作マーヴェリックを見る前に、久々見た時のレビュー。

やっぱりトム最高! トムと一緒に老いてきたワタシラにとって、次のトップガン・マーベリックは観ねばならない映画だが、トム、今度は教官なんですね。

VFX全盛時代に改めて見ると、生迫力は圧倒的。さらに自己制御出来ない荒削りの才ある若者が、知的な女性と父親替わりの教官(のカッコ良さに気づく年齢…)に導かれて自力で困難を乗り越えて成長するという王道ストーリー。たまたまシチュエーションが海軍戦闘機兵器学校なだけで、若い頃のトム映画は、この手の話が多いけどね、誰がバイクに跨がり空を飛ぶ戦闘機を見上げる青年が、還暦で未だバイク、いや戦闘機にも乗る、スタント無しアクション狂俳優になるとは…。

はっきり言って、こっちも回顧的にしみじみ観るまで、細部は飛ばしてトムだけ観ていた…そういう映画。

グリーン先生やラブコメ女王前のメグも懐かしいですが、意外にヴァルが印象深い唇で魅力的。また「何故戦うかは政治家の仕事で我々は忠実に任務を遂行」云々て、何気ながら怖いセリフ。
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