Kuuta

トップガンのKuutaのレビュー・感想・評価

トップガン(1986年製作の映画)
3.4
バーで酔い潰れていると思ったら水しか飲んでなかったくだり、マーヴェリックの真面目な性格とガチ落ち込み感が出てて好き

・変な映画。ほとんどが敵のいない訓練、実戦でも敵の顔が見えない演出が施され、フォーカスはマーヴェリックの内面の葛藤や孤独感に当てられている。

一方、映像はMTV的な軽快な編集(同年公開はロッキー4)、過剰なカラーリングや水の滴る演出で彩られている。内容と映像のアンバランス感が、多くの人の記憶に残った要因なのではないか。

・冒頭のパイロットは茫然自失となるものの、殺される訳ではない。最大の喪失であるグースの死は、訓練中に起きる。敵意が「敵」に向くことを避け、軸をパイロットの内面や組織内での軋轢に置こうとしている、フォードvsフェラーリのような構成。

・ヘリで海から救助される場面、水しぶきがカメラにガンガンかかる。夕暮れと海の強烈な色味も相まって情報量がすごい

・空母内、青と赤の照明がキツすぎてダリオアルジェントみたいになってて笑う

・訓練終了と同時に勝利BGMみたいの流すのやめろ

・太陽に向かって飛んで目を眩ますなどエースコンバットで見たやつだ!が沢山あって楽しい

・戦闘においても人間ドラマにおいても、「追いかける事」について描いた映画だと思うが、空中で追いかけっこする二機が同時に映るショットが少ないのが問題

単機のクローズアップを繋ぐ編集が上手くいっていない。「3時の方向に敵機」などとセリフが入るので位置関係は何となく分かるものの、言葉頼りの描写になってしまっている。

逆に言うと、複数機を引きで撮りつつ一機だけ急旋回する場面など、全体像が見える瞬間はどれもテンション上がる(最後の戦闘はそれを4機、5機の絡みでやっている)

・ゴーストライダーの異名を持つマーヴェリックは、空では不審死した父の幻影を探し、陸では意中の教官(ケリー・マグギリス)を追いかけている。訓練でも戦闘でも問題となるのは「僚機を守れるかどうか」。

彼が自由を謳歌できているのは、他の訓練生との仲介役となり、後席でサポート役に徹するグースに見守られているから。グースの死によって、マーヴェリックは自分自身を見失ってしまう。

しかし、父の死の真相を知り、グースのドッグタグを手に、彼は最後の最後に失いかけたバランスを取り戻し、僚機を助け出す。両親との思い出の曲をかけ、ゴーストは恋人と地上で生きる道を見出す。
Kuuta

Kuuta