扱われているのは人間の欲深さや罪深さといった重いテーマだけど、舞台となっているのが山奥の湖に浮かぶ寺院で、四季によって違った表情を見せる自然や、かつては鮮やかであっただろう寺の装飾や仏像や、象徴的に登場する動物(魚、蛙、鶏、犬、猫、そして蛇)など視覚的に大変美しく、豊かな気持ちで見ることが出来た。
作中で「執着=殺意を生む」とされていたんだけど、日本ではそこはイコールとしないよな〜と思いつつも、宗教も国によって特色や考え方の違いがあるのかもと。
和尚が自死してしまったことについて、わたしは小僧に罪を犯させてしまったことを自分の罪と考えたのかと思ったけど、観る人によって解釈が分かれそう。
時を経て自分が和尚となり小僧の面倒を見ていることからも、ニルヴァーナに至れず輪廻をしてしまう生の苦しみが象徴されているようだ。
キム・ギドクって生前ちょっとお騒がせなイメージがあったけど、このような作品を作れるなんてきっと、繊細な面を持っていたんだろうな。安らかに。