ほーりー

新幹線大爆破のほーりーのレビュー・感想・評価

新幹線大爆破(1975年製作の映画)
3.8
関根さんの物真似の「青木君、新幹線を停めるんだ!」でも有名な和製パニック映画の快作。

速度計に取り付けられた爆弾がある速度を下回ると爆破する仕掛けになっているのはその後「スピード」でも流用されているが、映像化作品において元祖はこの「新幹線大爆破」らしい。

名探偵コナンの劇場版第一作でも同じような爆弾が登場するが、あちらは速度計ではなく太陽光が遮る時間でスイッチが入るという仕掛けだった気がする。曇天の日だったらどうするつもりだったのだろう。

さて「新幹線大爆破」の方。

町工場の元社長、学生運動クズレ、集団就職で来た地方の若者の3人は 、誰も殺さずそして誰から殺されずに巨額の身代金を手にいれるために完全犯罪を計画する。

彼らの目的は金だけではなかった。社会から見捨てられた彼らは、当時日本が世界に誇った夢の超特急・新幹線に爆弾を仕掛けることによって一泡ふかせてやろうと考えたのだ。

爆弾を東京発博多行きの新幹線に取り付けた彼らは国鉄に脅迫電話をかける。

国鉄職員が「また脅迫電話ですか……」と言う台詞があるが、こういうことが日常的だったことに驚かされる。

しかし、今度の爆弾は停車したら爆発するから対処のしようがない。名古屋、京都、大阪と過ぎ、新幹線は刻々と終点の博多駅へと向かう。

果たしてそれまでに爆弾は解除できるのだろうか!?

オールスターキャスト(田中邦衛や北大路欣也なんかワンシーンのみ)といいながらも実質の主要メンバは、犯人側の高倉健と山本圭、国鉄側の宇津井健(運転指令長)と千葉真一(運転士)の四人。

そこに介在するはずの警察当局だが、「天国と地獄」の仲代達矢や「飢餓海峡」の伴淳みたいなキャラは登場せず、無能ぶりが目立つ描かれ方をしている。

柔道部員の一団とか突然の火災発生とか突飛な展開にはちょっと都合良すぎる気もするが、さすがに柔道部員に捕まえてくれと叫ぶ刑事って何だかなぁと思う。

そのかわりに大活躍するのが宇津井健を筆頭とする国鉄職員たちである。

新幹線同士の正面衝突などの数多の危機に対して指示命令を出す宇津井、死と隣り合わせの状態で新幹線を運行する千葉チャンなどがやはり印象に残る。

新幹線の並走シーンも滅茶苦茶カッコいいもんね。

それにしても勝者なきストーリー展開である。

一番の功労者であるはずの国鉄職員はじめ、犯人グループ、警察、藤田弓子扮する女医など、誰一人として報われないというのが珍しい。

宇津井が去る時の言葉が物悲しかった。

■映画 DATA==========================
監督:佐藤純弥
脚本:小野竜之助/佐藤純弥
音楽:青山八郎
撮影:飯村雅彦
公開:1975年7月5日(日)