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ブラッド・ダイヤモンドのTEPPEIのレビュー・感想・評価

ブラッド・ダイヤモンド(2006年製作の映画)
3.1
技術部門や役者たちの巧みな演技は最高と言える出来栄えになっている。「ブラッド・ダイヤモンド」の問題は肝心の脚本がやや美化されて、反政府組織が軍資金として血のダイヤモンドを産出しているという事実とその残虐さと背景が、実はまったくリアリティが無い、の一言に尽きる。さすがのディカプリオと、ジャイモン・フンスーの演技はノミニーされるほどの強力な演技である。加えて撮影も、音響も痺れる演出も見応えがある。その点において「ブラッド・ダイヤモンド」は素晴らしい。だがまず設定の無理に首を傾げる。現実問題を訴えるならジェニファー・コネリー演じるジャーナリストをメインでもいいと思ったが、ディカプリオ演じる傭兵という存在とその上官がダイヤモンドにこだわる理由も明白でなければ、その欲に溺れる人間性そのものも描き切れていない。エドワード・ズウィック監督はハリウッド業界でも雇われとして扱われているが、手腕は見事である。だからこそのミスマッチ感が強い。元々な無茶な脚本を活かそうとするのではなく、納得がいくまでリライトするべきだった。結果ズルズルだったわけだが、現実はもっと残酷である。おそらく事前にアフリカ内戦に興味があり、様々な史料を観てきた人からすればちょっとエンタメにし過ぎではないかと疑うレベルである。
総評として、「ブラッド・ダイヤモンド」は完璧な部分とそうでない部分が入り混じって、なんだか勿体無い映画になっている。
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