これは消耗した。
観終わって、感動したとかよりも先に、疲れた、が一番の感想。
2時間半の間、戦闘シーンが多く迫力もあるが、残酷でグロい描写が多かった。戦争映画には慣れている私でも目を伏せてしまう、特に女性・子供のシーンは可哀想で直視出来ない。
アフリカ小国の内戦をリアルに描いてるのだろうが、ここまで映像にする意味はあるのか。
紛争が続くアフリカでは、その資金源を得るためにダイヤモンドが不正に取引され、その為に多くの難民と少年兵が生まれている。アフリカの重い現実の一面を描いている。
しかし、ドラマ性に重きを置いたため、アクション映画っぽくなっており、それはエンターテイメントとして成功しているものの、どこまで真剣に観るべきか、悩みつつ観ることになる。
これはもうダメという手前ギリギリで逃れるという、よく在りがちなスリリングな展開が、かなりの数で繰り返されるので、最後の方は正直、引いてしまう。
おぃ、君はボンドかボーンかハントか⁈
ハリウッド映画お得意のご都合主義の展開に、メリハリのない作品となってしまったのが残念。
とはいえ、作品は丁寧に作られている。
銃撃戦の後の白い煙に浮かび上がる兵士の影や、燃える建物のオレンジ色の炎の傍で踊る兵士。
爆発と逃げる人たちの顔。
迫力ある戦闘シーンやアフリカの大地を映すカメラや色使いが上手い。
レオナルド・ディカプリオが主役のダイヤを密輸する傭兵アーチャーを演じた。ワイルドなイメージを前面に出し、『タイタニック』の美少年のイメージを見事に裏切った熱演。勿論悪くないが、少々無理があったのは、持って生まれた美しさと、このアーチャーという人物のキャラが確立されていないせいか。
泥臭いマット・デイモンあたりが似合いそうだが、彼ではボーンになってしまうね。
こんな役をやるの?という意外な人物であり、この映画で唯一のスターで華があるので、キャスティングは成功したわけだ。
何より漁師ソロモンを演じたジャイモン・フンスーが素晴らしかった。
家族、特に息子への愛、強い意志とプライドを見事に表現。頑強な身体と、黒い顔に白く光る瞳が印象的。
あり得ない程の危険を冒し(ちょっと後先考えなさ過ぎだが)息子を取り返そうとする姿、アーチャーとの絆、など、感動させられた。
ジャーナリストのマーディー役はジェニファー・コネリー。
『ビューティフル・マインド』の好演が記憶に残る女優。
今作では、やや印象は薄い。
レオとの恋愛も主題の邪魔にならぬよう控えめで、ただ溢れる想いはよく出ていた。
マディーたちが危険な時に咄嗟に取った写真の行動はあまり理解出来なかったが。
レオの電話辺りからラストまでは、この映画『ブラッド・ダイヤモンド』にふさわしいスッキリした結果だが、ちょっと綺麗にまとめ過ぎたかな。
満場の人々の笑顔と拍手が、ハリウッドは大好きなんだよね。