Yoshishun

ザ・ドライバーのYoshishunのレビュー・感想・評価

ザ・ドライバー(1978年製作の映画)
4.0
いやー、カッコいいなぁ✨

表情1つ変えないクールドライバーが悪党佇む夜の街を爆走するクライム・アクション。『ドライブ』の元ネタとしても有名。

役名が"ザ・ドライバー""ザ・プレーヤー"といった風に、明確な名前が与えられていないキャラクターが物語るは、彼等が無名であること、彼等の犯行はすべての犯罪においてもほんの些細な事に過ぎないことの暗喩ではないだろうか。

ザ・ドライバーとの攻防をゲームとして楽しむクソな刑事のキャラも面白い。勝負事に絶対の自信を見せ、どんな時も余裕を見せる歪んだ正義を体現している。またどこかルパンと銭形の関係性に類似していて、追跡を楽しんでる姿が微笑ましく感じた。

本作最大の見所は、極力音楽に頼らない、アクセル音とブレーキ音、またはサイレン音だけで魅せるカーアクション。特にクライマックスの倉庫でのチェイスはただならぬ緊張感。エンジン音だけが微かに響くものの相手がどこにいるかわからないシーンが主人公の性格そのもの。あらゆるピンチに全く動じない無表情に隠れたクールさに痺れる。

派手さはなくとも、カーアクションとちょっとしたストーリー、キャラクターだけでもこんなに面白い作品ができるんだと感動。ラストシーンが少々わかりづらいが、各キャラクターの過去が全く描かれないのも気にならないし、むしろ物語と直結しないから全体的に丁度良いバランスで全て展開されていく。

これにイカした音楽、仲間内での揉め事、恋、過去といったさまざまなエッセンスを加えると、傑作『ベイビー・ドライバー』になるのだから、70年代アクションの傑作という呼び名に加え、以降のカーアクション映画にも多大な影響を与えているのも納得の作品。
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