これはかなり好きかも。適当に選んだわりには思わぬ良作に巡り合ってうれしい。
映像も音楽もプロットも、とにかく余計さがないのがいい。集中を削がれずに観たいものを観られる。
背中には外階段と外光、アパートの薄暗い廊下に刑事が踏み入る。他にも屋上や立体駐車場、建築物が主役のショットが上手い。行き過ぎない緊張感が、でも確かに漲っている。
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夜にボンヤリ眺めるのによさそうかなと思って鑑賞。
眺めるというよりはつい無心で見入ってしまった。
この前観た『ノスフェラトゥ』に続き、イザベル・アジャーニが出演。キレイだなと思っていると、立ち上がった姿はパンツスーツ。何の気なしにスカートを予期しているので、颯然といった身のこなしに惚れてしまう。
カーチェイスでもほぼ喚かないのがいい。「ええ、マジなの……」くらいで黙って髪を風に吹かせたままにしている。私は泣いたことがない、灯りの消えた街角で……? 速い車に乗っけられても、急にスピンかけられても恐くなかった……? そうです、聴こえてくるのは明菜です……。
ヤンキーの人とかの「車高が低い=カッコいい」という文化がよく分からなかったけれど (「エッ、じゃあジープとかはカッコ悪いということ……?」みたいな) 、観ているうちにその感覚がなんとなく分かった気がする。
あ、そういえばこれもポータブルラジオ映画。何度か出てきたカニフォークくらいのサイズ感のやつ、流れからすると車のキーなのだろうか。古い車の知識がなさすぎて分からなかった……。