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1984のabdmのレビュー・感想・評価

1984(1984年製作の映画)
4.0
近未来の全体主義国家が舞台のSFディストピアムービー。
皆が平等で貧富の差のない世界!と言われれば聞こえはいいが、それはいい面を切って言及しているだけであって実際は失敗した思想であることは歴史が証明している。
この映画はそんな思想が罷り通っている世界で唯一その制度に疑問を抱き続ける男が主人公の『地球最後の男』別バージョン。
原作となったSF小説の権威オーウェルの『1984』(お恥ずかしいことに未読)の元々考えられていた題名が『ヨーロッパ最後の人間』である様にやはりこの映画のテーマは人間とは?人間性とは?という問いをかける哲学的な側面の有る映画。
考えることを放棄させられる屈辱さ、そして繰り返される終わりの見えない拷問に、徐々に意識が遠のいていく。
それでも主人公は屈しない。屈せない。
思考は簡単には奪えない。

トリュフォーの『華氏451』
ルーカスの『THX-1138』
テリーギリアムの『未来世紀ブラジル』に並ぶ管理社会の闇。
肉でないものを「それは肉である」と言われればそれは肉。
2+2=5の世界。恐ろしい限り。
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