岡田拓朗

浮草の岡田拓朗のレビュー・感想・評価

浮草(1959年製作の映画)
4.1
浮草

「後悔先に立たず」をこんなにも美しく表現できる作品は他にあろうか。

大切にしなくちゃいけない人を大切にできない。
過去の縁を断ち切れない。
そこから来る嫉妬。それでも離れずに繋がり続ける2人。

旅一座としてだけの繋がりとそれを超えるような強固な繋がりを比較しながら展開していく物語が今作により厚みと深みを加えている。

結局何もなくなったときに一緒にスタートを切ってくれる人が、本当に大切な人なんだなーと。
ラストで悟って向き合ってこなかった今までの自分を後悔しても、過去には戻れない。

その一瞬で大切にすべきものを大切にしないといけない。
大切なことって何だろう。
その時々で立ち止まって考えていかないといけない命題である。

成長と後退。
歳を重ねることで後退していくことがある。
それは純朴な心であり、素直さや謙虚さでもある。
それに気づかせてくれる、何とも人間臭く美しい作品だった。
岡田拓朗

岡田拓朗