甲冑

浮草の甲冑のレビュー・感想・評価

浮草(1959年製作の映画)
4.0
小津を映画館で観るのは初めてだけど風情があった。一連の松竹ものと異なりワイルドめな人物が感情をぶつけるなど小津作品の中でもエモでありそれだけに風情も宿るが『麦秋』『東京暮色』などにある戦後日本の家族崩壊テーマはここでも通底している。好みは人物すら事物のように映す冷ややかな小津先生だけどこれはこれで味わい深く、厚田雄春ではないが宮川カメラも大変冴えわたっている。浮草家業の人生の根には気づけば京マチ子があった訳で夏の夜のラストシーンがしんみりと印象深い。
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