ブラック・ダリア事件をモチーフにしており、遺体や発見現場の再現度も高いのだが、それ以上に刑事と司祭という異なる職業に就いた兄弟および、その周辺人物が繰り広げる人間ドラマに重点が置かれていた(惨殺される女性キャラクターには、プレイメイトとして名を馳せたグラビアモデルをキャスティング)。
実際の事件が発生したのは戦後間もない1947年、しかし本作の舞台は1960年代前半で、約15年後だからということなのか、刑事たちは顔すらしかめずダラダラ捜査を進めるだけ。
司祭も俗世の垢まみれと、打算的なキャラクターしか出てこない作風はある意味ノワール…、猟奇犯罪現場(美術がリアルで良い)まで押さえるも、捕り物は成立せずというシラケ具合であった。
慇懃な振る舞いの中に本音を覗かせるデ・ニーロは、終始セクシー。
しかし「ただ居合わせただけ」という理由で、閑職へ追いやるカトリック教会の采配もすごい。