足らんティーノ

未来世紀ブラジルの足らんティーノのレビュー・感想・評価

未来世紀ブラジル(1985年製作の映画)
5.0
「ぶざまなほど統制された(awkwardly ordered)人間社会の狂気と、手段を選ばずそこから逃げ出したいという欲求」

完全に統制された社会と、それに依存する民衆。

体制維持のために捏造される「悪」
「企業と政府の体制を維持するため如何にテロリストが必要とされるか...(中略)戦争を正当化するためテロが用いられる。」

イギリスの代表的なコメディグループ「モンティ・パイソン」のテリー・ギリアムが監督を務め、同じくモンティ・パイソンのマイケル・ペイリンが主人公サムを演じている。
ジョージ・オーウェルの『1984年』をコミカルにオマージュしたような作品。

監督が監督だけに、少々コミカル過ぎると思うシーンも多くあった。特にサムがジルを追いかける様は漫画チックで滑稽でさえあったが、「手段を選ばずそこから逃げ出したいという欲求」という言葉で合点した。

吹き替えで観るとサム役の島田敏やカーツマン部長がちょっとコミカルすぎた。

〈メモ〉
象徴的なモチーフであるダクトは、社会階級を隠喩したものらしい。労働者階級であるバトル家では邪魔になるダクトをよけながら生活しなければならず、サムの家ではダクトは見えないが、その存在は常に(故障時などは特に)意識せざるを得ない。記録省ではダクトは環境の一部として目に見えるが、従業員の頭上にある。情報省ではダクトはまったく存在しない。そして、すべてのダクトの末端は、独裁的な情報省に繋がっている。(wiki)

サムライの顔がサム自身なのは、「Sam,You Are I(サム、お前は俺だ)」を短く発音すると「サムライ」になることからきているジョークらしい。(wiki)

2021-151
足らんティーノ

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