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未来世紀ブラジルのKotaのレビュー・感想・評価

未来世紀ブラジル(1985年製作の映画)
3.8
“社会のルールには従わねばならんのだよ。”

20世紀どこかの国。官僚達が社会の全てを管理する世界。何かと然るべき手続きが必要で、人を殺すときも書類にサインを。全てが紙で管理され、機密情報で溢れ返る。そう、ギリアム監督が描いた未来は科学が発達した世界ではなく、このクソ鬱陶しい社会システムのみが発展したクソ世界。

テリーギリアムってやっぱり頭おかしいね。普通の人間はこんな世界観作れないもん。“ゼロの未来”の時もこの人やばいと思ったけど、30年も前からもっとヤバかった。でも彼の作品の割には不思議と説得力があり食い入るように150分観れた。情報省の官僚が同じようなスーツを着た部下達と歩き回るシーンは無造作なのに滅茶苦茶センスあったし、冒頭から最後まで流れ続ける「ブラジル」は流れるシーンによって色を変える万能すぎな主題歌。頭から暫く離れない。

現実と虚構の狭間。報われない現実世界ならば、いっそ虚構の世界に生き続けたほうが幸せなのかもしれない。ギレルモ監督の“パンズラビリンス”と似たようなメッセージ。とりあえず想像を超えた展開やキャラクターの数々に終始口は開いていたと思う。
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