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未来世紀ブラジルのabeeのレビュー・感想・評価

未来世紀ブラジル(1985年製作の映画)
4.0
【現実は夢のまた夢。】

実はクリスマス映画な1本。

先日「12モンキーズ」を鑑賞し、ほかの方のレビューに「未来世紀ブラジル」がよく似ているとあったので観てみることに。

「12モンキーズ」よりこっちが好きだったな。ブラックな要素強くて。

主演はジョナサン・プライス。
この方色んな映画でよく見かける俳優さんですが、主演もされてたんですね。
来年公開の「ドン・キホーテ」も主演されてるようで(アダム・ドライバーの名前が上に行っちゃってるけどww)、テリー・ギリアム作品の常連さんなんですね。

タイトルはぶっちゃけ意味のないもので、テーマソングに使われているのがサンバの「ブラジル」というくらいしか共通点はなく、そこに深い意味があるかといえばそうでもなさそう。

舞台は20世紀のどこかの国。
政府の完全なる情報統制が取られた社会の中で、ある人違いをきっかけに結果的に政府に追われることになってしまった男の物語。
もはや「未来」ですらないという邦題も謎。

まぁとんでもなくシュールなシーンの連続で何を観せられてるのか分からなくなることもしばしば。
それでも不思議なものでその夢と現実が混同した切り貼りのようなストーリー進行がどうでも良くなるほどに切り取った各シーンがとんでもなく中毒性が高い。

特にロバート・デ・ニーロ演じるダクト工のタトルの登場シーンが面白い。
そんなに登場シーン多くないけどね。

夢を追いかけ、夢から抜け出せなくなるラストはなんとも皮肉で、「12モンキーズ」のように最後にモヤモヤを残すのではなく、現実を突きつけてくる辺りが最高にブラック。

ということで、恐らく好き嫌いはありそうな作品ではありますがテリー・ギリアムの作品は意外と分かりにくいようでそうでもないのかも。
自分の意志を貫き通すことってこの「表現の自由」が認められている社会の中でも限界があるもんね。
それでも曲げられない結末があると、そこを曖昧にして世に出すしかできないんだろう、きっと。
それが今の彼の表現方法なのかも知れないけど。

全くわけわからんかった「Dr.パルナサスの鏡」も近々観直そう。
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