みむさん

やがて来たる者へのみむさんのレビュー・感想・評価

やがて来たる者へ(2009年製作の映画)
4.0
子供視点の戦争映画の良作だった。ずっしり重く、心が痛くなる映画。

イタリアの小さな村で起こった歴史的事件「マルサボットの虐殺」を1人の子供視点で描いてる。

序盤の心の中を表現する朗読部分以外マルティーナのセリフがない。にもかかわらず、彼女の「視点」で語るこの映画、ものすごく不条理・恐怖が伝わる。

反面、子供ならではの視点もピュアなゆえ心が痛む。たとえば、怖いはずであるドイツ人でも彼女にはフツーの大人にしか見えない。なのになぜ銃をもってるの?とか。

戦争映画にもかかわらず映像がすごく詩的な感じがしたり、美しい風景画のような感じがするのは、もしかしたら単にファンタジックな映像を差し込んだのではなくこの少女の視点の映像だから、少女の想像と共に美化された、少女の思い出の中にある美しい村の風景を投影してるんじゃないかな?と思ったりもした。

それくらい戦争映画とは思えない美しい風景が広がっていた。虐殺の描写があるにもかかわらず。
ラストは感動というか…心が痛む。

悲劇にはかわりないが、どちらを善としてどちらを悪とするような描き方はされていない。

少女目線の「なぜ!?こんなことをするの?」的な悲痛な心の叫びが胸に突き刺さるような映画。

重たいけど、おススメ。