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HANA-BIのSCALAのレビュー・感想・評価

HANA-BI(1997年製作の映画)
4.8
静と動の対比、生と死の狭間

闇と光の円環、花と火の情愛


追われる身の刑事とその妻の逃亡劇と人生模様そして死生観を叙情的に描き、日本映画40年ぶりのヴェネチア国際映画祭グランプリに輝いた人間ドラマ、、、


まだ全作品観たわけではないけど、現時点ではたけし映画の中でベストはこれかな。

バラエティと映画で全く違う顔を見せるたけし自身のように、孤独な男の暴力と静寂の対比が特徴的で素晴らしい。

銀行強盗のシーンは何回でも観たくなる名シーンのひとつ。

余計な部分をとことん省き少ないセリフと映像のみでこれだけ魅せられるのはシンプルに凄い。

久石譲の音楽はもちろん、端々に写り込む絵画が作品の芸術性と奥深さを与えていて印象に残る。映画だけでなくアートにも造詣が深い北野監督ならではの作品と言える。

たけしの実の娘さんも出てくるラストシーンは思わず感嘆のため息が…。

死ぬまでに観れて良かった。


"ありがとう、ごめんね…"

これだけで十分。
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