晴海通り

香華 前後篇の晴海通りのレビュー・感想・評価

香華 前後篇(1964年製作の映画)
3.8
全然違うんだけど、前編は脳裏で椎名林檎の『歌舞伎町の女王』が流れる展開。いやあんまり違わないかも。ちょっと大きな都市には必ずあった花街。男が金を握り、女は色や芸を売ってそれを得る。しかし「アレが済んだら髪型が変わる」ってすごい世界だな。

そして乙羽信子。黙ってたらこんなに可憐で美しい人はいない。花魁として座敷に上がった場面はその迫力に息を呑むほど。しかし一旦しゃべったりなんだりするともうあかん(笑)毒親と言えばそれまでだが、いてもいなくても毒。信じられないくらい奔放。いつまでもベシャベシャと水っぽい。世間では晩年の『おしん』の姿の印象が強いんでしょうか。

そんな中で軍人・加藤剛と恋に落ちる岡田茉莉子。しかし界隈で1番の旦那に囲われており、身も心も自分のものではない不条理。やがて軍人との仲も裂かれ、戦争という大きな時代に翻弄されていく。岡田茉莉子の顔がずっと劇画チックに剣がある。結構藤原紀香に似てる。

10代から老年までを演じた岡田茉莉子に拍手。朝ドラで半年かけられそうな話を200分にまとめてることもあり、加藤剛と巣鴨で再会するシーンがクライマックスだが、2人のエピソードが割と軽い(他の話が多い)のでちょっと唐突に感じる。チラッと映る田村正和。あの時代を知る人の作った映画はやっぱり違いますね。
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