踊る猫

ミツバチのささやきの踊る猫のレビュー・感想・評価

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)
4.2
さて困った。この映画は(検閲を逃れるために装いとしてはファンタジーという意匠を借りて撮影されたのだけれど)説明によって映画を進行させるものではない。むしろ各登場人物の無言の演技によって、寡黙になにも語らせないことによって展開させられて行くので今の目に慣れた人間には説明不足の感も禁じ得ないと思う。それを補って余りあるのはこの映画が始終黄金色の光に包まれているからで、またミツバチやその他のミクロなものに対する異様なまでの接写とロングショットという対照的な技法を巧みに使っているからでもある。最後の最後、アナが観たのは幻想の産物なのだろうか? それとも実在する異形の者なのだろうか? この映画を観て、久々に『パンズ・ラビリンス』を観直してみたくなった。
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