ほーりー

ミツバチのささやきのほーりーのレビュー・感想・評価

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)
3.5
寡黙な映画である「ミツバチのささやき」はスペイン内戦後の農村を舞台にした作品で、「パンズ・ラビリンス」同様に子供の視点から物語が描かれる。

ただ主人公の女の子の年齢が「パンズ~」よりぐんと低いのでだいぶ印象が変わる。しかも「パンズ~」のような血生臭さは全くない。

主人公のアナは、養蜂家の父と年の若い母、そして姉のイザベルと小さな村で暮らしている。

ある時、村に移動映画館がやって来る。上映作品はボリス・カーロフの「フランケンシュタイン」だ。姉と一緒に食い入るように観るアナだったが、ある疑問が頭に残る。

「なぜあの怪物は女の子を殺したの?なぜあの怪物も殺されたの?」

映画はこの後、父親とのキノコ狩りや脱走兵との交流シーンが続く。

非常に難解で解釈の仕方も色々ありそうな作品だが、僕個人としては「善ってなあに?悪ってなあに?」が主題のように感じた。

毒キノコだからということで踏み潰される。
脱走兵だからということで射殺される。
怪物だからということで殺される。

悪い奴だから倒されるという訳ではない。

しかも反乱軍であるフランコが勝利をおさめ、独裁政権がしかれることになったスペインにおいては尚更だと思う。

この世は全くもって不条理な世界なのだ。

という訳で色々と奥の深い作品なのだが、如何せんDVDで観ると本当に睡魔に襲われる作品でもあり、実言うと何度も寝落ちしてしまった。

■映画 DATA==========================
監督:ビクトル・エリセ
脚本:ビクトル・エリセ/アンヘル・フェルナンデス・サントス
製作:エリアス・ケレヘタ
音楽:ルイス・デ・パブロ
撮影:ルイス・カドラード
公開:1973年10月8日(西)/1985年2月9日(日)
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